若い女性の流出・転出が止まらない?地方を去った当事者として思うこと。#上京

上京したい人のために、リアルな上京体験談を発信する上京情報メディア『上京タイムズ』。編集長Miyuのコラムでは、30代で上京したMiyuが自らの体験をもとに、上京や東京での生活に関するさまざまな話題をお届けします。

今回のテーマは、「地方の若い女性の流出」についてです。

地方を去り、都市部を目指す女性たち

昨今、若い女性の地方からの流出が話題となっています。総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」によると、2023年に東京都以外から東京都へ転入した女性は、213,788人となっています。(なお男性は240,345人、総数は454,133人)

わたし自身は35歳で地元を離れて上京したため「若い女性」に入るかは微妙ですが(この文脈で語られる若い女性=産むリソースとされていることがほとんどなので)、地方を脱出する女性の気持ちはよくわかります。

地方にいた頃は、あらゆることに息苦しさや先行きの見えない不安を感じながら生きていました。

自治体は女性たちを「産むリソース」としか見ていないですよね?
地方の若い女性の首都圏流出・転出が止まらない?ニュースまとめ #上京

若い女性の流出について語られる背景には、必ず自治体の少子化の問題が挙げられます。

いつぞやの厚生労働相が『女性は産む機械』と失言をしたことがありましたが、実際の扱いとしても「産むリソース」としか思われていないのだろうと、多くの女性は感じているのではないでしょうか。

子どもを産む役割は女性にしか担えないことですが、役割をまっとうするための「モノ」としか扱われないことは、とても悲しく屈辱的なことです。

女であるなら、子どもを産め。その役目を終えたらさっさと仕事に就いてお金を稼ぎ、地域に納税しろ。女が出て行ったら、誰が老人の面倒を見るんだよ。

結局のところ、「女性流出」の話題において地方が言いたいのはこういうことです。

そもそも、男女を問わずとも地方ではロクに仕事がない状況だというのに、(ここで言うのは有効求人倍率の話ではなく「働くことにやりがいを感じられる且つ、自立して生活ができるほどの給与がもらえる仕事」のことです)子育て中の女性が柔軟に働ける会社や、産休・育休取得実績がある会社となると、さらに選択肢は狭まります。

過疎地域であれば尚更、近くで働ける場所を見つけるのは難しく、子どもの送り迎えや急病の場合を考えると遠くの市街地へ働きに出ることもできず、やむを得ず専業主婦を選ぶしかない人もいるでしょう。キャリア形成をして年収を上げるなんて、この世界線で語られることはありません。

また教育への価値観も昔のままアップデートされておらず「どうせ結婚して家庭に入るなら、女性がお金をかけてそんなに一生懸命勉強してもね」「出産後の仕事なら適当なパートでもすればいいじゃない」と、望む進路を選べない場合もあります。学校の選択肢自体も少ないため、首都圏との教育格差は広がるばかりです。

教育の差はそのまま、職業選択の差になっていきます。

果たして令和を生きる女性は子どもを産むとして、自分の子どもにそのような大変な思いをさせたいと思うでしょうか?大抵の場合「自分のような苦労を子どもにはさせたくない」と思うのが自然ではないでしょうか。

地域が変わるのを待っていたら、今世が終わる

子どもを産み育て、働くことなどとてもできない環境で、女性は「現実的でない」要求ばかり押し付けられます。

自治体主催の婚活パーティーなど的外れな施策は行われるのに、労働環境、子育て環境、教育環境は一向に改善されないままです。独身者がまともにキャリアを築ける環境すらない中で、結婚はおろか、「産んだあと」のことなんてとても考えられるような環境ではありません。

地方がこのような状況である以上、たとえどれだけ地域に愛着があろうとも、若い女性が“自立した大人として生きていくため”には、故郷を捨てるしか現状では方法がないのです。低賃金でキャリアの選択肢も狭い地方では、女性はまともに生活していけません。

もはや希望が持てない地方が変わるのを待つより、自分が東京圏へ移動したほうが早いのですから、そうなるのも当然のことでしょう。そんなものを期待して呑気に待っていたら、産むリミットどころか、今世が終わってしまいます。

おまけに田舎にいると、周りの監視の目のもと「結婚はまだか」「子どもはまだか」「二人目はまだか」……女性というだけで、どのような状態であっても何かにつけて他人の声が飛んできます。気にしなければいい、ではないんです。

ただ女性として生きているだけでそんな目に遭い続けるのが、鬱陶しいし苦痛なんです。女性たちは地域の奴隷でもなければ、産む機械でもありません。

地方を脱出する女性は、他人に人生を干渉されず、自分の力で生活に困らないだけのお金を稼ぐことができ、子どもを産んでも安心して生活できる場所を求めているのだと思います。そのような女性たちの多くは、男性に養ってもらうための結婚ではなく、自立した大人同士の結婚を望んでいるはずです。

でも、もしそれが生まれた場所で叶うのならば……わざわざ首都圏へ逃げることはしなくていいはずなのです。

各道府県→東京への転出者数はこちらの記事で解説

>> vs Tokyo

東京への転職におすすめの働き方を解説
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(NHK2024年6月17日

https://www.nhk.or.jp/minplus/0121/topic101.html

「魅力的な仕事も生活もない場所から逃げていく…」地方が直面する”女性流出”の本当のヤバさ
(プレジデントオンライン:2023年01月12日)

https://president.jp/articles/-/65232?page=1

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